紅葉の棋節が打ち切りになった理由を3つ考えてみた(週刊少年ジャンプ2018年40号感想②)
今週で「紅葉の棋節」が打ち切りになった。
個人的には1話は面白かったと思う。話の流れもよくできていたし、キャラクターもよかった。
市原銀杏のキャラクターに関しては賛否分かれていたけど私は良かったと思ってるし、止まっている主人公をヒロインが引っ張っていくボーイミーツガールとして良い1話だったと思う。
でも、6話以降がとにかく面白くなかった。正直真面目に読むのが大変だったし、結構読み飛ばすことが多くなった。
そして、今週、16話で打ち切りとなった。納得のいく打ち切りだと思う。
どうして紅葉の棋節は打ち切りになったのか。色々理由はあると思うけれど、私は3つの理由を上げたい。
その3つの理由とは、
- 作者が将棋に対する理解が薄かった
- ボーイミーツガール作品なのに、主人公とヒロインの関わりが薄かった
- 1つの話の中に無駄な情報が多く存在した
である。
1.作者の将棋に対する理解が薄かった
1つは、将棋を漫画にするという手法に対する理解不足が原因だったと思う。
つまり、「将棋の属性」というものを付けられるほど作者が将棋に詳しくなかったということだ。
例えば、アクタージュには「キャラクターの演技属性」というものがある。千代子はこういう演技をするキャラクター、夜凪はこういう演技をするキャラクターという風に、読者が思い出すことが出来る。
その「演技属性」がキャラクターを構成する要素として存在していて、それによってキャラが立っている。
しかしながら、紅葉の棋節ではキャラクターがどういう将棋をさすのかがわからない。
それ故に、「将棋の属性」でキャラクターを表現できないから、キャラが立っていない。それはそのままキャラの魅力が薄くなることに繋がる。
なんでこういうことが起きたのかというと、主人公が「受けがうまい」という属性を持っていることが原因だと思う。
「受けがうまい」に反する属性が「攻めが強い」ぐらいしか存在せず、その属性は兄貴がすでに持っている。
だから、「兄貴に似ている」という染井にしか将棋の属性を持たせることが出来ず、結局最終的に迷走した結果、「駒の声が聞こえる」という謎の属性をつけることになってしまった。
作者がもう少し将棋について勉強していて、例えば戦法をキャラ付けに使用していれば、ここまでキャラが薄くなることはなかったのではないかと思う。
2.ボーイミーツガールなのに、主人公とヒロインの関わりが薄かった
これも1つの原因だと思う。
ボーイミーツガール作品といえば、私が一番に思い出すのは「四月は君の嘘」だ。
今のジャンプだと、「アリスと太陽」が同じようなジャンルだと思う。
これらの作品と比較した時に、主人公とヒロインの関係性に問題が見えてくる。
「四月は君の嘘」も「アリスと太陽」も、主人公とヒロインが一緒に活動できている。
それ故に、二人の関係性も深く演出できるし、わかりやすくなる。
だが、紅葉の棋節は師匠と弟子という関係性にしてしまった。
これだと、共に何かを成し遂げるという演出が出来なくなってしまい、その分二人の関係性を描けなくなってしまう。
正直最後まで読んでいても、銀杏が主人公をどうしたかったのか、彼にどんな思いを抱いていたのかわからない人も多かったのではなかろうか?
アリスと太陽はその辺が凄くわかりやすい。あの作品と比べても、やはりボーイミーツガールなのに二人の関係性を描きにくい状況にしてしまったことは問題だと思う。
3.1つの話の中に無駄な情報が多く存在した
これは特に6話からが顕著なのだけれど、キャラも立っていないキャラクターを大量に登場させたり、複数の話を同時に展開したりととにかく話の構成がよくなかった。
週刊連載の作品は結構パラパラと流し読みしていく人が多いので、1話の情報を簡潔にすることは重要だと思われる。
例えば今週のワンピースだと、ちまちまと他の内容も入ってはいたが、「浦島を倒しお玉を浚ったやつが出てくる話」という形になっている。
しかし、紅葉6話だと、「昔悪口言っていたやつが仲直りを申し出てきて、銀杏が赤江門下の一人を下して、新キャラがさらに登場する話」となっておりとにかく情報が多い。
そのうえで、別段キャラクターが立っているわけでもないので昔悪口を言っていたやつが仲直りを申し出てきても何も感慨がわかない。
それどころか、「なんで今更こいつが出てきてるんだ?」という気持ちにすらなる。
そして、この読みにくい6話を前提に話がその後進んでいくためとにかくわかりづらくなりやすく、その結果として読まない人が増えてしまったのではないだろうか?
●まとめ
このように紅葉の棋節の打ち切りの理由を考察してみたのだけれど、とにかく1話は良かったと思う。
ただ、やっぱりその後人気が出なかったのか迷走していた場面が多く見られたので、そこが残念だった。
でも、私のような素人でも結構反省点を見つけ出すことができたので、これらを次の作品に生かしてほしいなあといった感じ。