アクタージュ40話・劇団天球の面々があまりにも人間味にあふれててすごい(週刊少年ジャンプ感想/2018年49号④)
アクタージュ
あ、あれ? いつの間にか群像劇になってやがる。夜凪がいつの間にか舞台装置と化している。そして、舞台装置と化していることで夜凪の格があがっている。
今まで夜凪に感情移入して読んでいたかというとすごく怪しいものの、劇団天球の面々があまりに人間っぽくていつの間にかそっちに感情移入させられてるんだよなあ。その流れでいつの間にか視点が劇団天球の人々とかアキラ君になってる。
で、そうなると劇団天球の視点で夜凪を見ることにつながる。そうなると、彼らに感情移入しているから「夜凪がすごい」という感情がダイレクトに伝わってくる。周囲のキャラクターに感情移入させることで主人公の「格」を再認識させるとかうますぎる手法なんだよなあ。
あと、地味に天使がポカンとした表情をするのがすごい。今までずっと不敵な笑みを崩さなかった天使があんな表情するんやで? 衝撃でしかない。
ここまでなんとういうか、計算されつくした主人公上げには素直に感動した。すげぇな、感情でも理論面でも説得力しかない。これがアクタージュの実力か。
それから、やっぱり巌さんと七生の過去には引き込まれた。
「手前の美しさを知ることを芝居という。だからお前は役者に向いてるんだ」ってセリフ、最高じゃないか。
この一言とそれからの日々に彼女がどれだけ救われていたのかがひしひしと伝わる。
このセリフ、アキラ君にも刺さると思うんだよなあ。
「偽った自分の美しさを作る」ことを芝居だと思って、「本当の自分の美しさ」から目をそらし続けているアキラ君にもピンポイントで刺さるセリフだ。
劇団天球の面々がこう、相互に影響を与え合って前に進んでいくのがすごく読んでて気持ちがいい。本当に最近のアクタージュは面白い。
ゆらぎ荘の幽奈さん
これはクズ。
当人が覚悟した結婚を周りがぶち壊すっていう展開は「責任も取れないのにそんな大きなことしていいのかよ」って批判をあびることになってしまうから、やっぱり相手をこれだけクズにしなきゃ成り立たないのかもしれない。
調教だとか突然痛いこと言い出すわ独占欲強いわ相手の気持ち考えてないわ、なんというか、うん、もう殴り飛ばされるためだけに生まれてきたようなキャラだよなあ。
でも、ミウラ先生がうまいなと思うのは、「人間味のあるクズ」ではなく「何を言ってるのかわからんアホなクズ」を出したこと。そのおかげで不快感というよりは「なんやねんこいつ」というツッコミのほうが先に来る。そのおかげでクズは出てきているんだけど、作中にどんよりした雰囲気が出てこない。
それを後押しするのが、今までの積み重ねだと思う。ゆらぎ荘はなんだかんだで最後は明るく終われるエピソードが多かったし、今回もそうなってくれるんだろうという信頼感がある。
でも、ほんと今回の新キャラは殴り飛ばされるために出てきたようにしか見えないし、逆に可哀想になってくるんだよな……。
ブラッククローバー
団長の桁違いの実力、エルフの強さをしっかりと描写しつつしっかりと連携して戦っているのがすごく面白い。
今週のブラッククローバーで一番笑ったのが、ジャックさんが空間魔法を切り裂いたこと。
おかしい、空間魔法に等しい性質を得たのだとしたら、ぶつかった瞬間に弾と刃が対消滅を起こすはずじゃないか。いったいなんで切り裂けてるんだよ、意味わかんねえよ。
そのうえで、次元切りとかいう防御不可攻撃と空間を切れる刃の一撃をしっかりと防いでいるフィンラルのオート防御の強さよ。
おかしい。ジャックの魔法は空間魔法を切り裂いていたのに、オート防御の時は対消滅するのかよというツッコミはなくもなかったけど、多分飛ばしてる斬撃と刃そのものは違う性質でできているんだろうと勝手に脳内補完しておいた。
細かいつっこみをしていったらキリがないのは確かなんだけど、それがどうでもよくなる程度に面白い。
呪術廻戦
東堂が木を壊しながら出てくる見開きのパンダ師匠の表情がとても素晴らしい。
相手側の最強のコマに対して虎杖という「いなかったはずの戦力」を足止めに置いていくのすごく理にかなってるし、それがそのまま主人公が学生最強の一角と戦うことにつながっているのすごく作劇がうまい。
まったくキャラクター的にも合理的にも無理がないのに、きちんと王道の展開になっているというね。「予定外の戦力だからリタイヤしてもあんまり困らん」があまりにも納得でしかない。
でもやっぱり、あの体術は規格外の虎杖が思わずビビってその場で防御を固めるくらいには東堂はヤバいんだなというのが伝わってきた。そのうえでその東堂に頭さんざん足蹴にされてなお起きていられる虎杖も大概なんだよな……。
そしてこの二人、今週の掛け合いを見ていると、やっぱりどうにも気が合うんじゃないかと思えてならない。どっちも体術規格外の奴らだし、テレビっ子だしなんだかんだで共通点多い気がする。次回戦った後普通に意気投合しそうなものである。