雨夏ユカリの趣味ノート

ボードゲーム・漫画・ライトノベルの感想/考察を書いてます

君に愛されて痛かった2巻感想・かなえが寛の前だとかわいい女の子なのが本当にロクでもない

君に愛されて痛かった

 

いやあ、2巻もやっぱりエグかった。「底辺の恋愛」というにふさわしい漫画だった。

 

かなえを中心にひたすらろくでもないことが起こってるし、不幸になっている人間多すぎるし悲惨でしかない。

 

 

2巻で私が思ったのは、鳴海もかなえも負荷がかかったら「キれる」ことしかできないんだなということ。

 

特にかなえはちょっとでも負荷があったらキレる場面が多かったし。

 

これに関して、結構前になろうで読んだ「底辺工業高校。そこはある意味異世界だった。」が面白いことを言ってた。

 

↓作品URL

https://ncode.syosetu.com/n4000di/

 

この作品では、「彼らは自己評価がとにかく低くそれによってストレスを受け続けているため、キレやすくなっている」と言っていて、多分かなえも鳴海もそうなんだろうなと思える。

 

もしかしたら、彼らは日常的に常に負荷にさらされているせいで防衛機制がぶっ壊れてるのかもしれない。

 

人間には防衛機制ってやつがあって、「負荷がかかった時に心を守るために自動的に流れる思考回路」みたいなものなのだけど、もしかしたら鳴海やかなえはこの機能がぶっ壊れてるんじゃないかと思った。

 

cocoronokokuban.jimdo.com

 

防衛機制が正常に動作していれば、ストレスがかかった時にどれかが働いて心を守るようになっている。

 

そのうえで、彼らの程のストレスにさらされていない人たちは、理性をもって防衛機制の方向をある程度コントロールしてるんじゃないかと思う。例えば、幼児化とかしたところで問題は解決しないし社会的な立場も危うくなるしなので、他のやり方にしようみたいな感じで。

 

だけど、かなえたちはあまりにも普段のストレスが大きすぎて防衛機制がぶっ壊れた結果、負荷がかかった瞬間に脳がパニックを起こして「キレる」しかできなくなるんじゃないかと思った。

 

キレられる方は意味が分からないし恐怖でしかないんだけど、実際問題としてどうやったらこの「負荷がかかったらキレる」っていうプロセスを解決できるのかは謎。

 

もはや生まれ持った環境によって与えられた性質なのかもしれない。そう考えると本当にただただ現実の悲惨さしか感じない。

 

 

あともう一つたち悪いなと思ったのが、かなえみたいなろくでもない人間でも「好意をもって接している」相手にとっては「可愛い女の子」だということ

 

かなえは一花を平然と輪姦させるし負荷がかかるとキレるしろくでもない人間なんだけど、それでも寛君の前では普通にかわいい女の子と化しているのが恐ろしい

 

かなえはちゃんと好意を相手に示せるところが強いんだよな。見た目も普通にかわいいのも含めてこういうところろくでもないなと思ってしまう。

 

実際寛君視点で見たら、かなえはちょっとおかしいところあるけど自分に好意を持ってくれるかわいい女の子でしかない。

 

そして、そのちょっとおかしいところも彼みたいな人間にとっては「オレが何とかしたい」と思わせるスパイスなのかもしれない。実際は「救いたい」と考えたって何ともできないしただただ削られるだけなんだけど。

 

結局最終的にはかなえを刺して終わるんだと思うと、いやもう悲惨でしかない。

 

 

この作品のひどいところは、なんだかんだ平穏に生きてきた人間がかなえと関わったことで転がり落ちていくところなんだよな。一花はレイプされトラウマを負い、寛は狂わされ最終的にかなえを刺し殺すことになる。

 

運よく『普通』でいられた人間でも、底辺へと叩き落される道がいくらでも存在しているんだぞ、ってのがこの作品のメッセージな気がした。

 

そのうえで、最後本当に誰も幸せになれない結末が待ってるぞ、っていう展開になるんだろうな。

 

3巻は一花にスポットライトがあたるみたいだけど、本当にクソみたいなことになる未来しか見えない。