ぼくたちは勉強ができない89話、『最愛の星に』編は完全に文乃個別ルートだった!(週刊少年ジャンプ感想/2018年52号)
ぼくたちは勉強ができない
終わったか……終わってしまったか……。
完全に文乃個別ルートクライマックスって感じの内容だった。ゲームだったら二人が結ばれて終わってた。
私はラノベとかギャルゲ・エロゲが好きな人間だから、こういう感じで一人のヒロインにスポットライトを当て続ける話はすごく好きだった。週刊連載だとどうしても一話完結が多くなっちゃうしね……。
もちろん文乃が好きっていうのもあるんだけど、それも含めて今回の話はめちゃくちゃ楽しめた。
成幸の手を見ながら、「お母さんの手と似てる」と思う文乃さん。
実際、文乃にとって成幸は「お母さん」と重なる存在だったんだろうなと改めて思う。
何度も言ってるけれど、文乃は「自分の夢」を色々な人に否定されてきた。父親にも、先生にも。
ただ、それを認めて一緒に戦ってくれている存在が成幸だったし、かつてはお母さんだったんだろう。
だから文乃にとって成幸の手は「お母さんの手と似てる」んだと思ってた。
だけど今週を見るに、それだけじゃなくて、二人は「努力を叶えた人たち」だったんだな。
まさか文乃のお母さんに数学の才能がなかったとは思わなかったよ。改めて考えてみると色々納得ではあるのだけれど。
この作品のテーマは「できなくても頑張れば報われる」だし、それになにより文乃の母親が数学出来なかったほうが「らしい」。
そんなお母さんの「好きなことを全力で、好きにやりなさい」という最後の言葉は文乃にとっての大きな救いになっただろう。
そして、それと同時にお父様にとっては完全に天地がひっくり返るような衝撃だったんだろうなあ。天才だと思ってたお母さまにあんなこと言われちゃ、娘の夢を認めざるを得ないでしょ……。
そしてラスト。
これは、反則でしょ……。
「起きてる」って。「起きてる」って!
何だこのシーン。まさに文乃ルートクライマックスにふさわしい衝撃だったよ!
これ、今まで文乃が成幸によりかかるのは、「理性がないとき=寝ているとき」だけだったけれど、今回のことを通して「理性があるとき=起きているとき」にもよりかかれるようになった、というすごいシーンなんだよな……。
ついに文乃はお母さんの言葉を通して「自分の中の成幸への気持ち」と向き合い始めたということなのかもしれない。
今まで「自分の本当の気持ちを出したら否定される」としか思えなくて、成幸への気持ちにずっと蓋をしてきた文乃が、その気持ちに向き合おうとしているんだと思う。
まあここまでいい雰囲気になっても「友達のまま」なのがこの二人らしいけど、これはいよいよ文乃がヒロイン戦線に参加することになるのかもしれない。ワクワクが止まらない。
私がすごく幸せだなと思うのは、こうやって二人の関係性にちょっぴり変化があった「その後」をこれからも読み続けられること。
最初に言った通りこの話ってすごく「文乃個別ルート」感があるのだけれど、普通のゲームだとその後の話はあんまり描かれないからな。
だからこうやってちょっぴり変化があった後の話を、普通にぼく勉の話が展開されていく中で見れるのがすごく幸せでならない。
最後に。こういった一人のヒロインにスポットライトを当て続ける話というのは週刊連載の中で描くのが結構難しい内容だったんじゃないかと思う。
ただ、それでも描いてくれた筒井先生に感謝が止まらない。本当にありがとうございました。
本当に「最愛の星に」編、ずっと楽しませてもらいました。
※本文中に掲載している画像はすべて『ぼくたちは勉強ができない/筒井大志/週刊少年ジャンプ』より引用しております。