アリスと太陽が打ち切りに。なんだかんだで結構好きだったから残念でならない(週刊少年ジャンプ感想/2018年51号⑤)
本日の感想作品
- アリスと太陽
- ゆらぎ荘の幽奈さん
- 忘レ者探偵
アリスと太陽
終わってしまった。最近打ち切られた新連載の中では一番好きだったしやっぱり残念だなあ。
この作品のハイライトはしのんとテレビで競い合ったときだったと思う。あれが終わってから加速度的に面白くなくなってしまった。
正直この作品の打ち切り理由はイマイチよくわからないんだよな。私はそれなりに好きだったし。
強いて理由をあげるとしたら、キャラクターの掛け合いがあんまりおもしろくなかったことはあると思う。
メインキャラが二人しかいなかった頃は目立たなかったけど、バンドの話になってからはキャラが増えてそういう場面が多くなってしまっていた。
キャラクターの掛け合いって、「読者が思ったこと」をキャラがしっかりツッコムことで成り立つと思うんだけど、アリスと太陽はそこら辺甘かった。
例えば今週の呪術廻戦だと、「あーそーぼっ」の場面は実際にパンダたちのガラが悪くて、だからこそ「ガラ悪っ…」のツッコミが面白い。
だけどアリスと太陽は「猫実」に対して何故か「マタタビがどうこう」とか「チュールがどうこう」とか読者の感覚と離れたネタの降り方をしていて、それが面白くなかったんじゃないかと思う。
それ以外にも、最後の「音楽は食べられない」とかも一発で内容が伝わるセリフではないし、やっぱりセリフ回しは面白くなかった。
あとはやはり、「よくあるボーイミーツガール」の壁を越えられなかったことも問題だろうか。
ただ、最初に言った通り結構私はこの作品が好きだった。
実際、主人公の目的もハッキリしていたし、ボーイミーツガールのテンプレを下敷きにした話づくりは良かったと思う。
なんだかんだで音楽的な内容も触れていて「きちんと音楽をしよう」という意思も伝わってきたし、主人公たちの強みが「グルーヴ」だというのもわかりやすかった。
太陽が少しずつとはいえ前に向けて進みだすのは良かったし、お互いがお互いに良い影響を与え合っているという展開も良かった。
良かった部分は多かったと思うんだけど、やっぱり色々足りなかったんだろうな……。残念だ。
凸野先生、お疲れさまでした。
ゆらぎ荘の幽奈さん
一方、こちらの作品もガンガン縦軸が進んでいて終わるんじゃないかと不安になってくる。
ついに砂霧が自分の恋心を自覚してしまった。それに加えて、御三家までそろってしまったし、縦軸進みすぎでは?
終わってしまうのか? 怖くなってきたぞ。
でもなんだかんだで最近のゆらぎ荘のなんちゃってバトル漫画展開は結構好きだったりする。
相手の霊力が高すぎるとか戦力が多すぎるとかの前振りは、この作品だと気持ちよく主人公陣営が殴り飛ばすためのものだってわかっているからなあ。
こうやって安心して読めるバトルは貴重だし、ぜひ来週も気持ちよく敵をぶんなぐってほしい。
忘レ者探偵
屋宜先生の新作読み切り。この人のアイアンナイトすごく好きだったな……。
この読み切り、面白いとは思うんだけど、ツッコミどころを消すほどの面白さは感じなかった。
個人的に一番謎だったのは、刑事がみことに殺人をしているということを明かした点。
これがまるで明かす必要がないというのが大変悲しい。彼女を捕えたいなら、殺人をしていることを明かさず味方のふりをして昏倒でもなんでもさせればええやん。
いったいどうして明かしてしまったというのか。これまで200件以上の殺人を巧妙に隠してきた人間とは思えない雑さ。
展開的に必要なのはわかるんだけど、アイアンナイトの作者らしくない「展開のために敵をバカにする」をやってしまっているのがすごく残念だ。
実際ここで独白していないと、「どうしてこの刑事を倒すのか」を読者がわからないし、次の展開が成り立たないというのはわかる。
だけど、例えば、みことに一服盛って彼女が倒れ際にそういう話を聞いた、とか、そういう展開でもよかったんじゃないかと思ってしまう。
そこがすごく残念だった……。
でも面白かった部分もあって、「どうして兄が戸籍上は存在しているのか」とか「どうして兄を名乗る人物が家に住み着いているのか」とかの謎の回収は面白かった。
全部納得いく理由だったし、最後のかみ合わない会話も切なくてよかったと思う。
総合的に、良い部分もあったけれど肝心な部分が残念だった短編、という印象。アイアンナイト好きだっただけにちょっと残念。