ぼくたちは勉強ができない109話・あしゅみー先輩の希望はお医者さんごっこにあると思う(週刊少年ジャンプ感想/2019年22.23合併号)
ぼくたちは勉強ができない
今週のぼく勉はしょっぱなから飛ばしてくれますね。
まずお父様がカッコいい。「互いに為すべき事を為すべきだ」とか日常生活ではまず使わないだろうセリフを大真面目に言うあたりが本当にかっこいい。
確かにこんなお父様がいたら憧れるだろうなと思うし、小美浪先輩が診療所を志す動機としてすごく納得できる良い過去回想でしたね。
そのうえで、「このしんりょうじょは あしゅみがまもるから!」ってところがすごく心に来ました。これだけ小さい頃の記憶なのに未だに残っているということは、それだけ彼女にとって大きな気持ちだったんでしょうし、実際彼女の原点はそこなんでしょう。
それだけ自分の中に根差したものが突然消え去ったら、それはもう生きる気力をすべて失ってもおかしくないくらいですよね。むしろああやってメイドカフェ行ったり予備校行ったりできてるあしゅみー先輩すごいな……。
でも、こんな風に絶望しているあしゅみー先輩ですけど、個人的に希望だなーと思ったのが成幸君の提案した「お医者さんごっこ」なんですよね。
メイドカフェでお客さんを相手に診察をして、彼らの些細な変化に気づきながら心のこもった診察をしていくあしゅみー先輩。それは彼女がかつて憧れていたお父様の姿にそっくりで、実際それをできた彼女はすごく満たされた表情をしてました。
あしゅみー先輩も「思いの他な、楽しかったんだ」と言ってましたし、あの瞬間だけでも「自分が目指していた姿」になれたってことなんでしょう。
今回彼女が「診察をしていた場所」は、「小美浪診療所」ではなかったじゃないですか。それでも、彼女は自分が診察する姿と、診察した人たちの姿を見ながら、そこに「小美浪診療所」を重ねることができたわけです。
だからこそ、今まで「小美浪診療所を継ぐ」ことを目指していた彼女にも、別の道があるんじゃないかと思うんです。物理的に診療所を継ぐことができなかったとしても、お父様の「患者のための存在になりたい」という意思を継ぐこと自体はできるんじゃないかな、と。
診療所を続けていくという選択肢は、お父様の「患者のためになる存在になる」という思いと反してしまう以上、例えば「大きな病院がやたらと対応が悪かった」みたいな新しい事実が出てこないと難しいなと思います。
そうなってくると、やっぱり「意思を継ぐ」といった形に落ち着くんじゃないかとは思いました。しかし結局のところあしゅみー先輩が自身が納得できるかどうかが一番大事なところなので成幸君に頑張ってほしいものです。
今回のあしゅみー先輩の話は、成幸君の恩返し的な話でもあるんですよね。自分が夢を持つきっかけをつくってくれた人の一人が、夢を失ってしまったというお話。だからこそ、やっぱり彼にはあしゅみー先輩を悲しみから救ってほしいです。
あと、今週グッと来たのが、あしゅみー先輩が自分の胸に聴診器を当てながら「あたしもだ」と成幸君に自分の心音を聞かせるシーン。
あしゅみー先輩のお話は、普段はからかっていて上の立場にいるあしゅみー先輩が、外的要因(げっ歯類とか)によって、成幸君の下の立場に来るっていうのが基本形でした。
あしゅみー先輩は先輩として見栄を張るので、「見栄を張らない小美浪あすみ」は外的要因によって顔を出すのが基本なんですよね。
それがまさか、こうやって自分から成幸に「見栄を張らない気持ち」を吐露することになるとは。「見栄をはる先輩」としてのあしゅみー先輩ではなく、等身大の小美浪あすみとして成幸に接するようになったってのがもうめちゃくちゃ感慨深くて驚きました。
普段誰に対しても見栄を張るあしゅみー先輩が、ついに成幸君に対して見栄を張らなくなった。この事実からは、本当に成幸君が「特別な人」になったんだなと思えますね。
こうなってくると「見栄の関係」である「嘘の彼氏彼女」にも何らかの変化が起こってくるかもしれないですね。
何にせよ、この引きで二週間待つのはつらいので早く二週間後来てくれーって感じですね。
はたして成幸君はあしゅみー先輩を診療台に寝かせて何をするというのか。楽しみですね。