チェーンソーマン1話・とんでもないバケモノ新連載が来てしまった。ポチタ!(週刊少年ジャンプ感想/2019年1号②)
1号から本当にトンデモない新連載が来てしまった。チェーンソーマン1話、新連載の1話としてレベルが高すぎる。
チェーンソーマン
なんだこの1話の完成度。意味わからん。本当にすごい。
ポチタが「私はデンジの夢の話を聞くのが好きだった」と言いながらデンジに心臓を与えるシーン、何度読んでも心にぶっ刺さる。
すごい。何がすごいって、たった1話でこの一人と一匹にここまで感情移入させているのがすごい。ポチタがいなくなることに対して読者の感情をここまで動かしているのがすごい。
こういう「誰かが死ぬシーン」を1話からやって読者の心を動かすのは本当に難しい。誰がやってもできることじゃないし、実力がない人がやってもなんら心は動かない。にもかかわらず、チェーンソーマンではこれよ。天才かよ。
なんなら何話も積み重ねた人たちですら、このデンジとポチタのお別れほど心を動かせるかというと謎。ヤバイ新連載が来てしまった。
まず主人公の境遇が考えられているよなと思った。
父親の借金のカタで3804万の借金を背負っているという救われない設定。しかも臓器まで売っている。それでも自棄にならず、ポチタと一緒に夢を語りながら生きている。
こんな健気に生きている人間を嫌いになれるわけがないし、どうしたって応援したくなってしまう。
それに加えて主人公の目的は「普通の暮らしがしたい」。これはあまりにもデンジらしい目的だ。彼の「心の底からの目的」だとわかるものだ。
この境遇と目的で、読者の中に主人公を応援したい気持ちが芽生えていく。そして同時に彼に感情移入していくことになる。
そのうえで、ポチタとデンジの絆の書き方。セリフでも絵でも1話に積み込めるだけ積み込んでる。
ポチタの表情からも、デンジとの絆が描かれている。
こんな表情をしていたポチタが
それに加えて、他にも色々ある。例えば、デンジが夢を語るシーン。「食パンにジャム塗って、ポチタと食って」と、当然のように夢の中にポチタの姿がある。
そして何より、二人の眠り方がグッとくる。
突然悪魔に襲われて何もかもが分からない状況になったとしても、デンジは絶対ポチタを離さなかった。それどころかポチタを守るようにしっかり抱えてる。最後に殺されるまで彼はずっとそうしていた。
さらにポチタとの回想シーン。ただでさえ少ない食料をきちんとポチタに分け与えてる。そのうえで、「ポチタだけが心残りだ」と語る。
デンジがどれだけポチタのことを大切に思ってるかが、本当にありとあらゆる場面で描写され続けている。そして、ポチタにとってデンジがどれだけ大切な存在かも、ポチタの表情で描写されている。
これだけの積み重ねを一話でやったからこそ、あのお別れシーンがあそこまで輝いたんだろう。
本当に一話としての出来が神がかっていた。読み切りとして載っていたとしたら間違いなく最高クラスの出来。
前作のファイアパンチをジャンプ+でちょろっと読んでみたけど、二話以降も面白いしチェーンソーマンも面白くなりそう。
それにしてもポチタ……いなくなってしまって悲しいよ……。
※本記事内で使用している画像は、『チェーンソーマン/藤本タツキ/週刊少年ジャンプ』より引用しております。