ぼくたちは勉強ができない86話・文乃と成幸の同居生活。やっぱり二人の心理的距離はめちゃくちゃ近い(週刊少年ジャンプ感想/2018年49号)
ぼくたちは勉強ができない
ああ! 文乃回ということですっかり忘れてたけど、そういえば成幸大好き妹がいた! すっかり忘れてた!
すげぇな妹さん。毎日こんなことやってるのか。他のブラザーズ目が点になってドン引きしてるぞ。そしてその「SISTER ENDING STORY」と書かれたエプロンはいったい何なんだ。
でも、成幸に好意を抱きつつ他の女の子に忠告しちゃうあたり、こう、幼さを感じるというかほかのヒロインズと違うというか。オンリーワンなヒロイン性を感じる。
そこらへん結構新鮮でよかった。というか、水希派の方たちには大歓喜の回だったのでは?
それにしても、今週の文乃もよかったなあ。
個人的に一番ポイント高かったのは、「わたしと…お兄さんは、絶対そんな関係にならないから」と言いながら、緒方やうるかのことを思い出すシーン。
ほんとなあ。「そういう目で見てないから」そういう関係にならないんじゃなくて、「友達がいるから」そういう関係にならないって言うあたりがすごく文乃らしくて良い。しかも、その違いに気付いていないのもいい。
どこまで行っても、彼女は自分の中の恋心には徹底的に無自覚だ。でも無自覚ながらもきちんと意識はしているという、文乃のキャラクター性を遺憾なく発揮していた一コマだったと思う。
なんだかんだで、先週読んだときには今回のエピソードと成幸への気持ちがリンクしているんじゃないかと思ったけど、この調子だとそんなこともなさそうかな?
そして、そのあとの成幸と文乃が洗面台で顔を合わせるシーンもすごく良い。
成幸と文乃って、心理的距離はめちゃくちゃ近くて、でも文乃が意識的に「恋愛」的には距離をとっているから、男の子と女の子の空気が流れることが少ない。だけど、こうしてふとした瞬間にそういう空気になるのがすごく良い。
こうやって、お風呂上りに自分の服を着ている文乃を見てめっちゃ照れる成幸とか、その状況を「新婚みたい」と捉えて照れる文乃とか。こう、普通にイチャイチャするのはうるかだけど、精神的イチャイチャは文乃担当、みたいな。
文乃が「新婚みたい」と思ったことを打ち消そうとしつつ、でもコップをノールックパスしちゃうあたりとかも、すごく二人の関係性が描かれていてよかった。
で、こうやってただでさえ近い二人の心理的距離が、秘密を打ち明けることでさらに縮まっていく。
二人で勉強しているときはちょっとだけ距離があるけど、寝て起きた時の距離が限りなくゼロに近い当たりもいろいろと暗示があっていいよなあ。
こうやって文乃と成幸の関係をばっちり描写しつつ、同棲展開あるあるを入れていくのは素晴らしい、
そのうえで、筒井先生はほかのヒロインと文乃を絡ませることも忘れない。その役目をうるかに持ってくるあたり完璧といわざるを得ない。
うるかの無意識の攻撃にドンドンダメージを受けていく文乃が素晴らしい。
さすがうるか、唯我家のシャンプーを使った文乃に対して「なんかこの香りすっごい好きー」は完璧な攻撃だよ。そりゃ君は好きな香りだろうさ。そして、それが成幸と同じシャンプーだと気づかないあたりがうるからしくて素晴らしい。もう何もかもが完璧。
今週の文乃回は本当に完成度が高かった。文乃というキャラクターを描き、文乃と成幸の関係性を描きながら二人の心理的距離を縮め、そのうえで文乃とほかのヒロインとの関係についても言及している。1話としての完成度が高すぎる。本当にすごい。
そしてこの状況だと来週は「父親の内心」が暴かれるのかもしれない。でもなあ、いくら余裕がないとはいえ、さすがにやっていることが文乃の心を折りすぎているんだよなあ。